読書録 国境のない生き方
17歳でイタリア留学。絵描きになろうと留学した先で待ち受けていたのはガスも電気も止められるくらいの貧乏生活が10年続く。当時同棲していた彼とはうまくいかず、20代で人生に絶望していたそんな時、妊娠が発覚。27歳で帰国し、シングルマザーとして子供を抱えて、猛烈に働く10足のわらじ生活。
知られざる彼女の人生はすさまじくバイタリティーに溢れていました・・・!
そんなマリさんの書く文章は生命力に溢れており、読み進めるほどにムクムクと元気、勇気、生きる活力が湧いてきます。
心に響いた文章をいくつかピックアップします。
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閉塞感を感じたら、とりあえず移動してみる。旅をしてみる。
これは、私達が生きていくうえでも有効だと思います。
どこかに行けば、今抱えている問題が解決するとは思わないけれど、自分が何にとらわれていたのかに気づくことはできる。
手に負えない孤独や寂しさこそ、もしかしたらその人の創造力や個性の源泉ではないでしょうか。
人生は一度きりなんだから、無駄にできる時間はこれっぽっちもない。
画材だって中間色が揃っていた方がグラデーション豊かに描き分けられるわけで、心のひだは、そうやって増えていく。人と人は単純じゃないということがわかっていると、その分、複雑なことが味わえる。せっかく世界が素晴らしいものを差し出してくれても、こっちに味わう力がなかったら、スルーするしかない。
私にとって「失敗」はダメージ・ポイントじゃなんですね。失敗が増えれば増えるほど自分の辞書のボキャブラリーが増えるわけですから、「やっちまった」「しまった」と思って、またやり直しっていうのは、死ぬまでやっていいと思うんです。
その時は「ああっ、こんなつもりじゃなかったのにどうしよう」ということでも、時が経てば「失敗」というカテゴリーには入らない。「経験」なんですよ、それって全部。
好きなものだけを集めた小さなお城は、それなりに快適そうではあるけれど、そのままずっとそこにいるつもりなのでしょうか。せっかく孵化したのに、卵の殻を破ることができないで死んでいくなんて。生まれたからには、命をもっと使えばいいと思うんですよ。傷つかないように、大事に守っているだけじゃなくて、もっともっと使わないと。省エネで生きることは、結局、その人にとって損ですよ。
殻の中から一歩も出ないなんて、死んだも同じ。
生きていることと死んでいることは全然違うこと、そうじゃなかったら生まれてきた甲斐がないじゃないですか。
単純に地球があって、太陽があって、この環境の中で生きていける生命体として、私たちは命を授かったのだから、まず「生きてりゃいいんだよ」。これが基本。
生きてていいから、生まれてきたんですよ。
それなのに、なぜ生きていくのかとか、仕事がどうとか、人間関係がどうだとか、私に言わせれば、そんなものは、あとからなすりつけたハナクソみたいなものです。
生きているからには、感動したいんです。感動は、情熱のガソリンですから。ガス欠になると途端に頼りない人になっちゃうので、まだまだ動きますよ、どこまでも!
また、こちらの書籍もマリさんが著者なのですが。
国境のない生き方~ではマリさんの視点でジョブズの人間性について少し語られているのですが、それも面白かったです。
midori sasaki.